SEINAN TODAY

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2024.02.20

予想しながら読もう〜言葉と絵を手がかりに〜

今日は、図書館よりSEINAN TODAYをお届けします。

1年生と「言葉と絵を手がかりに、次の場面を予想しながら読む」ことに取り組みました。使用した絵本は『くんちゃんのだいりょこう』です。

絵本の表紙から、どんな話だと予想できるでしょうか。ぜひ考えてみてください。(下に表紙の写真があります。)

子どもたちからは、こんな意見が出ました。
・くんちゃんがどこかへ旅行に出かける話だと思う。「だいりょこう」と書いてあるから。
・クマと鳥が出てくるお話。クマと鳥がいるから。クマがくんちゃんのことだと思う。鳥は木の上にいるよ。
・冬のお話かな。木の枝に葉っぱがついていないし、くんちゃんがマフラーをまいているよ。

子どもたちが絵本の言葉と絵をよく「読もう」としていますね。言葉や絵を注意深く観察し、解釈する力は、本を読むための大切な力です。今回は「次の展開を予想する」活動の中で、その力を育むことをねらいました。(ちなみに、絵を「読む」力は、絵本だけではなく、テキストを読む力にもつながっていきます。詳しく知りたい方は、『絵本で育てる情報分析力』三森ゆりか著などをご参照ください。)

さて、子グマのくんちゃんは、鳥たちが南の国へ渡ると聞いて自分も行きたくなります。丘を登って松の木まで行くのですが、お母さんにさようならのキスをしなかったことを思い出し、丘を下りてキスをし、また丘を登ります。しかし、今度は双眼鏡がいると気づいて家に戻ります。その後も、釣竿、水筒、麦わら帽子が必要だと思い、何度も丘を登ったり下りたりします。

くんちゃんは、「つりざおを みぎのかたにかつぎ、そうがんきょうを ひだりのかたにかけ、おかあさんに さようならのキスをして」・・・と、旅の支度を何度も繰り返し、持ち物が増えるごとにその言葉が積み重なっていきます。

子どもたちは、こうしたくんちゃんの行動の繰り返しや言葉の積み重ねにも着目しながら、次の場面の展開や旅の仕度の順序を予想しました。

最後に、くんちゃんはとうとう疲れてきて、「ぼく、りょこうにでるまえに、すこし ひるねしたほうが いいとおもうんだ。」と言い出します。

この場面で、「くんちゃんは昼寝と言っているけど、春まで眠ると思う。」と予想した子がA組、B組どちらのクラスにもいたのにはとても驚きました。この物語は「もうすぐ冬」の話であること、「クマは冬眠する」ことが予想の根拠です。

絵本には、物語の序盤に「もう そろそろ ふゆごもりの きせつに なったね」というお父さんの言葉や、「くまは ふゆは ねむるのです。」というお母さんの言葉があります。くんちゃんの「昼寝」という言葉を字義通り受け取らず、テキストやクマの習性を手がかりに批判的に読んでいる点がすばらしいと思いました。

もちろん、「南の国へ行きたい」というくんちゃんの思いや、「昼寝」という言葉、「だいりょこう」というタイトルなどを手掛かりに、「昼寝して、起きて、また丘を登る」と予想するのも、根拠をもったよい予想だと思います。

『くんちゃんのだいりょこう』は、可愛らしく微笑ましいくんちゃんがとっても魅力的な絵本です。しかも、そのストーリーの背骨には、くんちゃんなりの子どもらしい論理がしっかりと存在しています。 「くんちゃん」シリーズの絵本もたくさんあり、子どもたちに紹介して教室に置きました。

上記のような活動を行わずに純粋に物語を楽しむだけでももちろん大丈夫ですので、みなさんもぜひ手に取ってみてくださいね。

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